
『私は闘争よりも、逃走を選んだ。覚悟を決めた必死の逃走を』
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私は転職した会社が合わなくて続けるのが辛くなり、たった1ヶ月で辞めてしまったことがあります。いい歳した大人が何をやっているのかと自分でも情けなくなりますが、今回はその時のことを実体験に基づいて書いていこうと思います。
30代の頃に色々あって体調を崩してしまい、なんとか配達のバイトで食いつないでいたことがありました。生活は厳しかったですが、時間にゆとりができたことで心身ともに調子が戻ってきて「よし、正社員で仕事を探そう」と転職活動をして、運よく内定をもらったのがその会社でした。職種はバイクでの配達員。バイトでの配達経験から「1人の時間が多い仕事が自分には向いている」と気づいたのです。配達なら正社員でもやっていけるはずだと考えたのが、転職した経緯です。
転職先を1ヶ月で辞めた理由
入社前からの嫌な予感を無視してしまった(正常性バイアス)
面接では人事担当者から、
「1日の配達件数も多いし、体力的にもハードだけど大丈夫ですか?中には3日で辞めてしまう人もいて・・・」
と聞かされていました。わざわざそんなことを言ってくれるということは、それだけ日々の業務がキツく、離職率も高い会社なのだと、普通なら想像できると思います。本当に入社して良いのか?続けられるのか?もう一度熟考した上で、内定辞退する人もいるかもしれない。
しかし私は(全く怖気付かなかった訳ではないですが)せっかく内定をもらえて、しかも自分はもうアラフォーで、次の職が見つかるかもわからない状況で「じゃあやめときます」とは言えなかった。また、完全週休2日は確保されるということで、それなら体力的にも大丈夫だろうと、危機感のない想定をしてしまいました。いわゆる正常性バイアス(自分に都合の悪い情報は過小評価する)状態です。
募集要項とは異なる勤務時間
求人の募集要項には、
『8:00〜17:00勤務。昼休憩1時間で実働8時間。週40時間労働』と記載されていました。
が、実際に出勤すると先輩たちは皆朝7時には出勤している。退勤も18時以降が日常的。求人欄とは大きく違っていました。特に1時間あるはずの昼休憩はろくに取ることができず、配達の合間に信号待ちでコンビニパンを口に放り込むような状態でした。
即戦力としてのプレッシャーに耐えられない豆腐メンタル
中途採用ということで、仕事には即戦力を求められました。配達のスピードと効率、配達ルートを覚えてひとり立ちまでの期間など、一つ一つの項目をシビアに見られ、できなければ上司からの叱責を受けます。
とはいえ中途入社、それくらいの厳しさは当たり前でもある。私がそれに耐えられなかったのは、元来の根性の無さに加えて、バイト勤務から正社員勤務への環境の変化にもあったと感じています。
アルバイトという働き方のメリットの一つは、誤解を恐れず言えば、「低収入と引き換えにミスや問題を社員に頼れる責任の軽さ」にあります。そんなお気楽な環境に、数年かけて浸かっていた(体調崩してとにかく食いつなぐためとは言え、結果的にそうなってしまった)自分からは、正社員の責任とプレッシャーを背負ってフルタイム働くだけの忍耐力が失われていました。
入社して1ヶ月ほど経ったある朝。目が覚めた時「もう無理だ」と限界を感じ、ベッドの中から会社に電話して、退社の意を伝えました。
転職1ヶ月で辞める理由の伝え方と会社側の反応
ただただストレートに「体力的にも、精神的にも、自分にはこれ以上続けられないため退社したいです」と伝えました。変に取り繕うよりも、事実を言った方が話が早いと思ったからです。そして、体力的なキツさと精神的なキツさをそれぞれ分けて、具体的に伝えました。
体力的要因
求人情報と実際の勤務時間が違う。残業と早出の時間外労働が合わせて2時間ある。暇な日に調整するというが週40時間にはどうやっても収まらない。昼食もまともに取れないのもおかしい。・・・と思ったままを伝えました。
精神的要因
仕事を早く覚えたい気持ちはあるが、過度にプレッシャーをかけるタイプの指導は納得できないし精神的にもキツい。道順を間違えた時、後ろを走っている上司からクラクションと怒号が飛ぶのは耐えられない。・・・と、こちらも正直に伝えました。
客観的に見ると「いい歳した大人がヌルいことを言ってるな」と、我ながら思うのですが、言い訳などせずに「自分には不可能だ」ということをしっかり伝えなければ無駄に引き止められると考えたからです(求人サイトにはいつも載っている会社で、慢性的な人手不足状態だった)
会社側の反応
「1ヶ月続いて、もうすぐ配達も一人立ちできるのだから、もったいないよ」という返事。さらに「社員が無理ならバイトでは?」という提案もあり、これには若干心が揺らいだ(こういう『ガッツリ稼ぐよりも、ゆるく働きたい』という怠け者根性は、今も昔も変わっていない。そういう人間なのだ)
しかし、求人には不記載の時間外労働について一切返答がなかったこと、明確な説明がされなかったことに不信感が募ってしまい、「今日で退社したい。気持ちは変わりません」とを改めて伝えたところその場で受理され、即日退社となりました。
入社1ヶ月での即日退社。その後の行動。
市役所で国保、国民年金に戻る手続き。
退社が決まったその日のうちに、会社まで行き、事務員の方に社員証、社用スマホを返却しました。(ユニフォームはクリーニングに出し、後日郵送で届けた)
上司や先輩たちは配達に出ており、顔を合わすことはなかった(合わす顔もなかったけれど)
それからは健康保険などの手続きのため市役所へ。バイト → 正社員 → 無職となったわけだから保険も、国保&国民年金 → 社保&社会保険 → 国保&国民年金に逆戻り。しかもわずか1ヶ月の間に。 市役所の窓口で色々と事情を話して(「会社を1ヶ月で辞めてしまって…」と説明するのはやはり情けなかった)然るべき処理をしてもらい、手続きを完了させた。
その後は無職に。せっかく時間もできたことだし、ずっと行きたかった山奥の私設図書館に足を運んだりもした。
第一志望だった会社に再応募して内定。現在に至る。
いつまでも無職でいるわけにもいかない。就職活動を仕切り直しです。
家で求人サイトを1日中見ていると、ある会社の募集に目がとまりました。それは以前、第一志望で応募したものの、不採用になってしまった会社。そこがまた求人を出しているのを発見したのです。
1ヶ月で辞めてしまった会社と同業なのですが、待遇や社風が自分に合っているのではと感じていただけに、落ちてしまったのが残念だった。このタイミングには何かしら意味があるのかもしれない。
そんな思いから半分駄目もとで、求人サイトからではなく(そこから再応募するのは流石に厚かましいと思った)企業サイトの問い合わせページから再度の選考をしてもらえないかと直接連絡を取りました。
メールの内容はこんな感じ。
突然のご連絡失礼いたします。
◯月に貴社の求人に応募をさせていただきました〇〇と申します。
その節はご多忙の中、面接のお時間をいただき誠にありがとうございまし た。
この度、貴社が現在求人募集をされている事を拝見し、
もし可能でございましたら、再度選考の機会をいただけないかとメールさせていただいた所存でございます。
大変厚かましい申し出となり誠に恐縮ではありますが、もし可能性がございましたらご連絡いただけますと幸いでございます。
なお、すでに選考が終了しておられましたら、ご返信は不要でござ います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
無理なら無理で、さっぱり諦めて他を探そうくらいの気持ちだったのですが、有難いことに連絡をいただき、面接をして内定をもらえました。その会社には今も勤めています。
自分に合った会社・仕事に辿り着くまでもがくのも1つのやり方。
1ヶ月で会社を辞めるなんて一般的に考えれば非常識だと思います。
しかし会社というのは本当に、入ってみるまでわからない。どれだけ求人を読み込んだとしても、面接で質問したとしても、実際に勤務スタートしてから判明することがたくさんあります(大体においてそれは良くないことの方が多い)
特に、上司や同僚がどんな人たちか?という属人性の高い要素については前情報がほぼありません。近年「上司ガチャ」という言葉が生まれたのも無理ない気がします。
そんな理不尽に耐えながら続けるのがきっと立派な社会人なのでしょう。でもそんなふうに立ち向かえない(私のような)人は、合わない環境に居続けて再起不能になるよりも、なんとか自分に合った環境が見つかるまで、たとえ転職が多くなったとしても、諦めずにもがくしかないのかもしれません。
私が転職が多くなってしまったのは「どう働きたいか?」以前に、「そもそも自分はどう生きたいのか?」という、明確な答えを持っていなかったからだと思う。
というより、答えはちゃんと自分の中にあったのに、世間体やプライドを気にして、1人で煮詰まって、どんどん歪んでいってしまった。
ただの転職エージェントではなく、中長期的に、そして客観的に自分の生き方を見てくれる、そんな場所を知っていれば、少しは違ったのかもな・・・と思う。