これまで転職を繰り返してきました。合計8回。業界も職種もバラバラで定まっていない。現在40代前半、なんとか正社員で就職し、自分に合った会社で働けている。プライベートも平穏に過ごせていて、自分としては満足なのだが、世の中的には「転職多いと人生詰む」「逃げの転職ばかりでは、どこに行っても働けなくなる」などと色々言われている。転職回数の多い当事者として、どんな経緯で転職を繰り返してきたか、転職が多いことによるメリットなんてあるのか?(デメリットばかりのように思われるかもしれない。でも実は…)について、実体験に基づきながら書いていこうと思います。
- 転職8回繰り返した40代男の経歴
- 転職8回繰り返した40代男の現在の生活
- 8回も転職を繰り返してしまった原因
- 転職を繰り返すことによるデメリット
- 転職を繰り返して、よかったと思うこと
- 転職多い人が就活するうえで大事にしたいこと
- まとめ。
転職8回繰り返した40代男の経歴
まずは私の職歴を新卒〜現在まで。
新卒入社した会社を4ヶ月で辞める
学生時代、本当にやりたいことがありながらも周囲の目や世間体を気にして、テキトーで怠惰な就職活動をした結果、ブラック企業に就職。中途半端な気持ちでの入社は仕事にも身が入らず、わずか4ヶ月で退社。
(当時のことを20年経ってから客観的に分析した記事はこちら↓)
夢追いフリーターになり3年後に挫折
新卒を4ヶ月で退社後は実家を出て一人暮らし。バイトを掛け持ちしながらやりたいことに打ち込む。非常に充実した3年間だったが、「この道で食っていく!」という具体的な計画や展望はなく、未来はなかった。
29歳でフリーターから再就職。小売の契約社員へ。(転職1回目)
やりたいことにケジメをつけ、29歳で再就職した。フリーター時代に接客販売の基本を得ていたのでそれを活かして就職活動し、小売業の契約社員として入社。面接では3年間のフリーター歴をどう前向きに伝えるか、とても苦労した。
(フリーターが内定をもらうために色々と工夫した話はこちら↓)
販売系の別会社に転職。5年続く(転職2回目)
同じ販売でも、もう少し専門的な商品を扱ってみたいという興味から別会社に転職。1つのジャンルを深堀りしていくのが面白く、私が人生で一番長く務めた仕事だった。年間休日も多くボーナスも支給された。この時期は心身ともに安定しており、貯金もまとまった額を積み立てられたし、販売のスキルを上げるため色彩検定や販売士検定の勉強にも励んだ。結婚したのもこの時期。
全くの別業種へ転職。使い物にならず3ヶ月で辞める(転職3回目)
せっかく長く続いていた販売職から、「厨房機器の営業」という全くの異業種に、何を思ったか転職した。案の定3ヶ月という短期間で退社。辞表を出した際には人事担当者から「こんなんじゃ、どこ行ってもだめだよ」という定型文を初めて聞くことになる。完全な転職失敗だった。
飲食業界に正社員で入社(転職4回目)
飲食業界で正社員となる。飲食は小売での経験が活かせたし、調理業務もやりがいがあった。入社半年後に店舗責任者となったタイミングで先輩からのパワハラがスタート。1日12時間の長時間労働や月6日休みなどの待遇に耐えられず、2年で退社する。
心身ともに疲れて週休3日の非正規へ。色々と副業する(転職5回目)
「もう社員では働けない。低収入でも時間にゆとりある暮らしを」という思いから非正規の時短パートになる。時間に余裕のある生活はとても気に入ったが、既婚者の男が週休3日の非正規パートで働いていることに、周囲からは疑問を投げかけられることが少なくなかった。
また、プラスアルファの収入のために副業を始める。しかし本業のパート勤務に支障が出始め体調を崩す。結果、2年半で辞めることになる。
雇用保険すら入れない底辺の配達バイトへ(転職6回目)
体調もなかなか戻らず、もう一度正社員になるために就活する気力も失われていた。それでも生活はしていかなくてはならない。見つけた仕事は、雇用保険も有給もない、かなりブラックな底辺バイトだった(週20時間以上の勤務で、雇用保険の条件は満たしていた)
日々働きながらも、ズルズルと底に落ちていきそうな予感があった。けれど、この配達バイトの経験によって「自分は配達業のように一人で働く時間が多ければ多いほど精神が安定する」ことに気づくことができた。ずっと接客など対人の仕事をやってきた自分には目の覚める思いだった。
配達業の正社員として就職。きつすぎて1ヶ月で退社(転職7回目)
「配達業は自分に合っている」という確信から就活して、小さな配送会社の正社員に。しかし業務がきつすぎてまさかの1ヶ月退社。情けなすぎる。バイト生活が長かったことによる体力低下も要因の一つ。また中途採用社員への、即戦力としてのプレッシャーにも負けてしまった。バイトばかりで働いていると、メンタルも豆腐になるのだと痛感する。
別の配達会社の正社員へ。在職中(転職8回目)
「もう自分は無理だ」と思いつつも、藁にもすがる思いで応募した会社に正社員として内定をもらい、現在も在職中。
・・・以上。数ヶ月の早期退社が多く、我ながら恥ずかしい限りだが、おおむね事実の経歴です。
よくもまあ、無事に生きてこれたものだと思う。
転職8回繰り返した40代男の現在の生活
では、そんな私の現在の生活について。仕事とプライベートの両面から。
現在勤めている会社
地方都市の社員10人程度の中小企業。給与は手取り20万。ボーナスもなく収入もめちゃくちゃ低い。けれど残業はほぼなし、完全週休2日。何より人間関係が良好で(以前勤めた飲食店でのパワハラなんて影も形も見当たらない)精神的ストレスが非常に少ない。
また、会社から自転車5分の場所に引っ越したことで、通勤ストレスも皆無。満員電車と縁がなくなったことはとても嬉しい。
職住近接は家賃コストが高くなりがちだけど、職場自体が地方都市の外れに位置しているため、その点も問題がない。
職種は配達業。底辺バイトで経験した配達員という仕事が自分にとても合っていたのは皮肉な話。
私生活について
妻と夫婦二人暮らし。子どもはいない。結婚する前から「子どもを持つ」という考えが私にも妻にもなかった。かなり珍しい部類だと思う。妻は週4のパート勤務をしていて共働きである。
世帯収入は2人で月35万ほど。家賃は77000円で賃貸マンション。むやみに贅沢をせず、大きな出費がなければ生活には十分な額だし、毎月10万ほどの貯金がコンスタントにできている。
8回も転職を繰り返してしまった原因
ここまで転職が多くなった理由を自己分析も加えて書きます。
器用貧乏による飽き性
自分で言うのも何だが、ある程度のタスクはそつなくこなしてしまうところがある。これは良いことばかりではなく(むしろ弊害の方が多い)「ここまで出来ていればもういいだろう」という飽きや諦めにつながってしまう。他に興味が移って、新しいことを始めたくなってしまう。趣味ならまだしも、仕事も同じように考えてしまうのが非常にまずい。
上のポジションに就くことへの恐怖
勤続年数を重ねることでの出世や、上のポジションに就くことへの恐怖がある。これは恐らく、責任ある仕事を任された時に「失敗したくない」「間違えたくない」「ダメな奴だと思われたくない」という他者評価への過度な恐怖なのだと自己分析している。
また、チームをマネジメントする上でのコミュニケーションへの苦手意識も、それに拍車をかけてしまっているように感じる。
単純にメンタルが弱い
数年続いた仕事はまだ良いが、数ヶ月で辞めてしまったものについては、ただただ私の忍耐力、根性が足りないという結論になる。新たな仕事、環境というのは辛くて当然。それが耐えられない理由は、転職のしんどさを入社前に想定できていないのが原因。精神論になってしまうが「最初は多少しんどくても数年後を見据えて頑張るつもり」という当たり前の心がまえができていない。人間的な甘さが抜けきれていない。
転職を繰り返すことによるデメリット
転職が多いと、残念ながら生きていく上でも様々な弊害が生じてくる。
履歴書の職歴欄が足りなくなる
これは「転職多い人あるある」だと思う。
転職も8回となると、履歴書の職歴の行が足りなくなる。入社→一身上の都合により退社→入社→一身上の都合により……何度もそう書いていると、「自分は本当に1つの仕事が続かないのだな」という事実を目に見える形で突きつけられることになる。
ただし、今は手書きの履歴書も主流ではなくなってきている。ネット上にフォーマットがたくさんあり、自分でカスタムして応用が効くので、学歴や資格の他の欄を減らして修正したり、行のバランスを調整してなんとか形にすることができる。
友人知人が減っていく
学生時代からの親友はともかく、会社で知り合ってせっかく仲良くなった人とも、退職を機に離れていってしまう。人付き合いの程度や個人の性格にもよるだろうけれど、私の場合も各職場で仲良くなれた人が必ず1人はいたので、仕事が続いていれば今も交流があったかもなと寂しくなってしまうことがある。
収入を上げるのが難しい
年功序列システムは少なくなったものの、やはり1社での勤続年数が長くなるにつれ、昇給や役職手当などで徐々に年収は上がっていく。しかし私のような平社員のまま、しかも業界バラバラで転々としていると、年収は変わらないどころか下がってしまう場合も多々ある。中間管理職以上のポジションでの実績を作りながら、よほど計画的にキャリアアップしなければ、転職を何度もしながらの年収アップは難しい。
1つのことをやり抜いたという自信が持てない
どう生きるかは1人1人の自由なので、やりたいことにどんどん挑戦するのは良いと思う。けれど、何か一つのことを自分の限界までやり切ってみるのは、仕事でも趣味でも自分に自信を持つ貴重な経験となる。多くのことに中途半端に手を出すだけでは、土台というかバックボーンのようなものが自分の中で育たない。私自身が強くそう感じている。
ただ、日本には「1つのことをストイックに継続する」というのが必要以上に美化される傾向があるので、そこに惑わされすぎないように自分で判断しなくちゃならないとも思う。
転職を繰り返して、よかったと思うこと
職を転々としてしまうのはデメリットばかりのように思われるが、実は転職が多いからこそ見えてくるものがある(この記事で一番書きたいことでもある)
人や世の中にたいする視野が広がる
色んな業界に身を置き、働く人たちと接することで、社会の仕組みやビジネスの成り立ち方が、頭ではなく実感として理解できるようになった。また、経営者の人とも多く会えたのは良い経験だった(勤めたのは中小企業が多かったので社長との距離が近い)
高級時計を身につけ、高級車に乗り、昨夜の酒も抜けきれないまま出勤してくる経営者もいれば、そんな物欲は全く持たない、仕事一筋の経営者もいた。
多様なスキル(浅く広く)が身に付く
一つのことを深く極めることはできないが、それぞれの職種における基本スキルが幅広くこなせるようになる。販売なら接客用語や電話応対、飲食での調理技術、配達では車・バイクの運転や地図の効率良い見方と覚え方…それらが日常生活にも活かせるようになる。
自分に適した企業の見極めができるようになる
様々な企業の良いところも悪いところを何度も見てくると、完璧にホワイトな企業もなければ、完璧にブラックな企業もこの世には存在しないことに気づく。どの会社も白と黒の間のグレーのグラデーションの中にいる。そのグレーの種類が、自分に向いているかどうかという見方ができるようになる。
現在私が在職中の会社も、給与と年間休日という面では決して優良企業とは言えない。しかし人間関係や勤務時間は非常に快適で働きやすい。自分に適したグレー企業だと感じている。
転職を繰り返すことは褒められることではないけれど、無駄なことではない。無駄で終わらせないために、最後の最後は自分に合った会社に辿り着くために、一つ一つの会社で手を抜かず働くしかないのだと思う。
転職多い人が就活するうえで大事にしたいこと
最後に、転職8回の私が選考や面接で意識したことについて。
転職が多い理由を正直に伝える
書類選考の時点で、転職が多いことはもう人事担当者に知られている。そのうえで面接に呼ばれているのだから、
①「興味関心が移ろいやすく、1つのことを続けるのが苦手な性格」
②「このままでは仕事面でも、人としても成長することができない。御社で地に足をつけ頑張りたい」
この2点は簡潔に、前向きに、そして正直に伝えるよう意識した。
1社ごとの退社理由を理論立てて用意しておく
8回も転職していると、これが本当に大変である。8個全ての職歴には触れられずとも2〜3個は間違いなく質問されるので、もれなく返答を用意しておくべき。数ヶ月でやめた職歴にも、「体力的に私には無理でした」と誠実に伝えた。
応募する前に、本当にこの会社で良いのか熟考する
これは内定のためというより、そこで働き続けるために必要。私自身も痛感しているのだが、とにかく入社した後の想定が甘すぎる。それゆえに想定外のギャップに耐えられず安易に退職してしまう。転職8回ともなると、これ以上職歴を増やすわけにもいかない(履歴書の欄も足りないし…汗)本当に応募していいか?時間をかけて熟考する。それが「この会社で続けるぞ」という心構えにつながっていく。
正社員がダメでもバイトや時短からは?交渉する努力を。
その会社が良いと自分で結論を出したなら、社員としての本採用が無理でも時短やバイトからはどうか?面接の最後に一言聞いてみるのも良いと思う。本気度が伝わるし、会社側も急ぎで人員が欲しいなら試用期間で採ってくれる可能性もある。
ちなみに私の今勤めている会社への応募は、実は一度選考を受けて不採用になったのだが、数ヶ月後にまた募集をしているのを目にし、2度目の面接してもらえないかと、ホームページから直接問い合わせた。40代で転職8回。泥臭くやらなくてはいけないこともあるのだと思う。
まとめ。
長々と書きましたが、転職を繰り返すのは悪いことばかりではないし、良い経験にもなる。それは自分に合った環境に辿り着くための過程だったと捉えることもできるから。ただそのためには色々と工夫が必要だし、1つ1つの職業から意識的に学びを得ていかなければいけない。
何の展望もなく、ふらふらと転職しまくってしまった私のような人間をぜひ反面教師にしていただき、この記事から参考にできるところがあれば、うまく活用してもらえれば幸いです。